アルピーヌA110に新たに加わったスポーツモデル「A110S」。その本領は、サーキットでこそ味わるものかもしれない。筑波2000を舞台に、ベースモデルのA110との比較試乗。限界領域での両車の挙動の違いをメインにレポートする。◎文:加藤英昭(Motor Magazine)/写真:伊藤嘉啓

本記事はモーターマガジン 2020年5月号にて特集された記事のWeb版です。

日本屈指のテクニカルコースで比較試乗

画像: 専用18インチアロイホイールに加え、Sablt製スポーツシートなどの採用で上級仕様らしさを演出するリネージ。

専用18インチアロイホイールに加え、Sablt製スポーツシートなどの採用で上級仕様らしさを演出するリネージ。

A110SとA110(リネージ)の比較試乗を行ったのは筑波サーキット2000。低速コーナーから中速での切り返し、そして120km/h程度で旋回する高速コーナーもあるテクニカルサーキットなので、両車の限界領域での挙動を確認するにはもってこいの場所だ。

試乗はまず、A110のラインナップの中でも装備が充実しているリネージから。最初はヘルメットを装着せず、様子を見る程度に走るように指示された。乗り心地を確認するためにあえて積極的に縁石に乗って走らせてみるが、足まわりへの入力は「ゴツン」という感じではなく、「タタン」という感じで、しなやかにクリアしていく。

画像: 走行シーンに合わせて、トラック/スポーツ/ノーマルの3つのモードが選択できる。

走行シーンに合わせて、トラック/スポーツ/ノーマルの3つのモードが選択できる。

少しペースを上げてコーナーへ侵入してみると、多少のロールをともなうものの非常に扱いやすく挙動はマイルド。スピンしちゃうんじゃないか……というような危うい感じはまったくしなかった。

バックストレートにはハンドルの切り返しでの挙動を確認できるようにパイロンが置かれているが、ここでかなり攻めた走りをしてもリアが急に流れ出すような感覚は一切なく、アクセルとブレーキ、そしてハンドルの操作のつながりがわかりやすい。なんだか運転がちょっとうまくなったような気分を味わわせてくれる。

速さはA110Sが上だが挙動がA110よりシビア

画像: エンジンをリアミッドに搭載。前後重量配分は44:56で、重心高をドライバーの腰付近に設定する。

エンジンをリアミッドに搭載。前後重量配分は44:56で、重心高をドライバーの腰付近に設定する。

ピットに戻ると、リネージの感触を忘れないうちに、すぐにA110Sに乗り換えることができた。そして1コーナーのクリップに向けてハンドルを切り始めた瞬間、そのセッティングの違いが感じられる。A110Sはハンドル操舵に対するフロントの反応がA110 リネージより明らかに速いのだ。

ストレートで強めの加速をしてみると、40 ps増&20 kg減の差は確かに体感できる。とくにスポーツモードで全開にした時の「ブフォフォフォー」というレーシングカーのような重低音のエキゾーストノートをともないながらの加速感はとても気持ちいいものだ。

画像: カーボンルーフを採用しており、1.9kgの軽量化を実現。ハンドリングにも好影響をもたらす。

カーボンルーフを採用しており、1.9kgの軽量化を実現。ハンドリングにも好影響をもたらす。

加速がいいから、当然コーナーへの進入速度もリネージより高い。ブレーキペダルを若干早めに踏むことになるが、少し硬められた足まわりということもあって、フロントの沈み込みは少なめで、ターンインの速度も高い。まだ、それほど気合いを入れて走らせているわけではないのだが、クルマの方が「もっと速く走ってくれよ」とでも言っているかのようだ。

画像: 292psの最高出力を6420rpmで発生。A110より約420回転高いところまで伸びやかに回る。トルクバンドも拡大。

292psの最高出力を6420rpmで発生。A110より約420回転高いところまで伸びやかに回る。トルクバンドも拡大。

画像: より高速域での安定性を高めるシャシとサスペンションのチューニング。横滑り防止装置のセッティングも専用。

より高速域での安定性を高めるシャシとサスペンションのチューニング。横滑り防止装置のセッティングも専用。

それに応えるべく、ヘルメットを被ってからの全開走行ではコーナーを限界まで攻めてみる。するとA110Sはワンランク上の速度でコーナーを駆け抜けることができるのだが、リネージとは明らかに扱いやすさが異なり、ワンランク上のドライビングスキルを要求してくる。つまり速く走れるけれど、シビアな挙動をうまく制御できる運転技術を求めてくるのだ。

ただし、リアを少しスライドさせながらハンドルは若干カウンターをあて、アクセルを微妙にコントロールしつつタイヤを鳴かせてコーナーを駆け抜けることができたのなら、その爽快感もハンパじゃない。しかし、そこにはリネージでは感じられなかった「スピンしてしまいそう……」というある種、独特の緊張感が漂う。

画像: 0→100km/h加速はA110Sが4.4秒、A110は4.5秒。最高速はA110Sが260km/h、A110が250km/hとなる。

0→100km/h加速はA110Sが4.4秒、A110は4.5秒。最高速はA110Sが260km/h、A110が250km/hとなる。

結論。腕に自信があって、ハードなスポーツカーに乗りたいのならA110S。オシャレなスタリングも楽しみながら、たまにスポーティに走らせたいのならA110。ちなみに今の私なら、乗り心地が良くワインディング路を軽快に走れるA110を選ぶ。

アルピーヌ A110S 主要諸元
●全長×全幅×全高=4205×1800×1250mm/ホイールベース.=2420mm/車両重量=1110kg/乗車定員=2名●エンジン直列4気筒DOHCターボ/総排気量=1798cc/ボア×ストローク=79.7×90.1mm/最高出力=215kW(292ps)/6420rpm/最大トルク=320Nm/2000/燃料・タンク容量=プレミアム・45L /WLTCモード燃費=12.8km/L/トランスミッション=7速DCT/
サスペンション形式=4ダブルウィッシュボーン/タイヤサイズ=前215/40R18・後245/40R18/ブレーキ=4輪Vディスク●最高速度=260km/h/0→100km/h加速=4.4秒
/車両価格=8,990,000円
参考>
アルピーヌ A110リネージ
主要諸元●全長×全幅×全高=4205×1800×1250mm/ホイールベース.=2420mm/車両重量=1130kg/乗車定員=2名●エンジン直列4気筒DOHCターボ/総排気量=1798cc/ボア×ストローク=79.7×90.1mm/最高出力=185kW(252ps)/6000rpm/最大トルク=320Nm/2000/燃料・タンク容量=プレミアム・45L /JC08モード燃費=14.1km/L/トランスミッション=7速DCT/
サスペンション形式=4ダブルウィッシュボーン/タイヤサイズ=前205/40R18・後235/40R18/ブレーキ=4輪Vディスク●最高速度=250km/h/0→100km/h加速=4.5秒
/車両価格=8,440,000円

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