ロシア発・世界唯一のサイドカー専業メーカー「ウラル」。その魅力を広めるべくウラルジャパンCEOとして活躍するブラド氏は、理想を実現するために日々努力を欠かさない。その成功の影には、ブラド氏が生涯を通して嗜む「武術」があった。ここでは成功者の多くが嗜んでいるといわれる武術の世界をブラド氏の半生とともに紹介していく。

心を磨きに日本へ

大学を卒業して、次の週には日本に旅立ちます。その目的は…木彫りの勉強!笑

研究生として富山県にある伊波という世界的に有名な木彫りの里で、日本の伝統的な彫刻と書道を習いました。

木彫りや書道などは武術とまったく関係なく見えますが、実は集中力や動きの正確さなどで共通点も多いんです。もちろん、武術の上達に体力なども必要ですが、本当に上手な人は身体だけではなく、心も精神も強くて、集中力や頭の回転の速さも鍛えています。

これは聞いた話ですが、昔の達人たちは書道や何か芸術をやっていた方が多かったとか。

画像: 僕の名前の当て字「武良人」は、当時の書道の先生につくってもらったものです

僕の名前の当て字「武良人」は、当時の書道の先生につくってもらったものです

日本の伝統的な村で朝から晩まで道具を研いだり、木を彫ったり、工房を片付けたりして毎日過ごしました。シンプルな生活だけど、最高に楽しかった。

でもやはり運動不足も感じていたので、仕事が終わってからは毎日自分の部屋で自重トレーニングとストレッチをやっていました。

これは余談ですが、ウエイトトレーニングやサプリじゃないと筋肉はつけることができないというイメージがありますが、実はそうではありません。ウエイトトレーニングはやりすぎると筋肉が硬くなって、動きも遅くなります。それで不思議なことに武術的に逆に弱くなることもあるんです。

簡単な腕立てや腹筋エクササイズ、逆立ち腕立てなどの自然な動きでも十分強い筋肉はつけられるんですね。

心と身体は表裏一体。どちらかではなく、どちらも鍛えるのが正解です

ターニングポイント

半年間の研究プログラムが終わってからは、福井県にあった「ウラルジャパン」というロシア製のサイドカーを販売している会社に誘われて、セールスマネージャーとして入社します。

画像: 夜西敏成監督が手がけた『Steel Angie』という映画のワンシーン。ウラルのバイクにまたがっています

夜西敏成監督が手がけた『Steel Angie』という映画のワンシーン。ウラルのバイクにまたがっています

その後、福井で競技系の剛柔流空手道場に入門。6年ぶりにようやく武術の練習を再開します。もともと日本語を勉強し始めたのも武術のおかげ。せっかく日本に来ていたので、武術稽古を続けないともったいない、というのがきっかけでした。

当時、私は23歳。若い時から趣味だったバイクが本業になって、武術の世界にも戻ってきた。まさに人生のターニングポイントです。

福井に1年半ぐらい住んでからは大阪へ引っ越します(私の日本語は関西弁混じりです!)。

そこでウラルの仕事をやりながら、道場を検索。そのときはもう競技としてではなく、実戦的な武術を習える道場を探していました。

7歳からずっとスポーツをやっていて、空手、剣道、陸上、射撃など数多くの大会に出ましたが、試合で勝っても、自分が本当に強いのか? たとえ上手な選手になっても、歳を取ってからもずっと続けられるのか?という考えがあったんです。

恩師との出会い

実戦的に教えてもらえる武術を探し、私は沖縄剛柔流空手道古武道 拳志會関西の本部道場を見つけます。いま思えば、人生において最大の幸運だったと思いますね。

道場を経営されているのは武術最高級の夫婦の先生達。
男性の方は日本人で、剛柔流空手道九段範士の中村正美先生。女性の方はフィリピン人で、剛柔流空手道七段教士と同時に、カリ(アーニス、エスクリマとも言う)フィリピン武術の達人の中村愛美(Mildred Mutya Nakamura)先生。カリの道場はこちら

当然ながら、私は空手部だけではなく、フィリピン武術部にも入りました。そして実戦的な武術の稽古がスタートしました。

半生を振り返ってみて

いま思えば、自分のコアを見つけることが人生においては重要だと思います。いまはなんにも興味がなくて、とにかくお金だけは欲しい人とか、楽な人生を送りたい人というのが多いですよね。

でも、自分のなかに中心的な価値観「コアバリュー」がなければ、人生はうまく進みません。私にとってのコアは武術でした。

現在はロシア製バイク販売のウラルジャパンの他、高級車カスタムパーツ輸入系の会社経営、フリーランスモデル、俳優もやっていますが、私は自分のことを「武道家」として考えたいんです。何をやっていても、自分は武道家として生きていきたい。

自分らしい生き方、生きがいのベクトルを見つけて、すべてそのベクトルに従う。ただ一点だけに集中しすぎると視野が狭くなるから、頭を硬くせず、やったことのないことにはチャレンジしながら、人生を送りたいと思っています。

と、1回目は自己紹介だけで終わってしまいましたね。
次回からは、私が生涯をかけて追求していきたいと考えている沖縄の武道やフィリピン武術カリ/アーニスについて紹介していきます。

画像: 武術に学ぶ人生。What are your core values? 【Vol.1】

ブラド|Volkhin Vladislav
ロシアのウラジオストク市生まれ、2012年から日本滞在。Ural Motorcyclesの日本法人・ウラルジャパン(株)の代表者。沖縄&フィリピンの武術愛好家でもあり、俳優、フリーランスモデルも務める。小さい頃から好きなバイクと武術を本業にしている関西弁混じりの日本語が喋れるロシア人。
Instagram:vlad_volkh

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