ロシア発・世界唯一のサイドカー専業メーカー「ウラル」。その魅力を広めるべくウラルジャパンCEOとして活躍するブラド氏は、理想を実現するために日々努力を欠かさない。その成功の影には、ブラド氏が生涯を通して嗜む「武術」があった。Vol.4ではヒトが達人になるためにもっとも必要なことについて紹介いただいた。

「体」、「精神」、「心」のバランスをとること

みなさん、ご無沙汰しております。前回の記事を公開後、世の中は新型コロナウイルス感染症により大変なことになりました。

明日がいったいどうなるのか? 不安な気持ちを抱えて毎日を過ごしている方も多いかと思います。しかし、そんな今だからこそ、自分を知り何ができるのか?何をやりたいのか? をしっかりと自覚することが大切です。

行動を起こすのにより良いタイミングがいつか来るかも……と待つことは非常にもったいないです。やりたいことがあるのなら「明日より今日」ですね!

とはいえ、いまはSTAY HOME。外出自粛でなにもできない!と嘆いている方もいらっしゃるでしょう。しかし、こんな状況でも鍛錬はできます。

さて、今回のテーマは「体」、「精神」、「心」について。説明するのが非常に難しいのですが、伝わりますでしょうか?

画像: 「体」、「精神」、「心」のバランスをとること

達人を目指すために必要なこととは?

さて、武術の達人になるためにはどうしたらよいのでしょうか?

ハリウッド映画のヒーローの場合は、ムキムキでないといけないと決まっていますが、現実はそんなことありません。これまで達人と呼ばれる人たち写真を見てきましたが、とても小柄な方が多い印象です。いまも武術のインストラクターたちは、ムキムキではなく普通の体型の方多いです。

でも……戦うにはやっぱり筋力が必要なのでは?と思いの方も多いでしょう。格闘技の世界であれば、確かに筋力は必要かもしれません。しかし、実戦の場合、力だけではどうしようもないのです。極端な例ですが、ムキムキのアスリートでも、人生で一度も運動したことのない人でも、ナイフで刺されたら結局同じです。

では何が必要なのか?

武術と心身の上達には心技体のバランスが必要だと良く言われていますね。しかし私は、「体」と「精神」と「心」の整理が大事だと思っています。それらのバランスが取れれば、それは「技」になる。

どれかひとつに傾き過ぎてしまうと、すべてのバランスが崩れます。人間はとても複雑な生き物なんです。すべては密接につながっているんですね。

でも心と精神ってなにか似ているような気がしますよね? 改めてそれぞれの意味を考えてみましょう。

体(身体)とは?

武術の表面的な部分は体の動きが重要になります。そのためスムーズに動かすために鍛錬することが必要です。こう聞くと、筋トレをするべきなんだと思う方もいるかもしれませんが、ただ鍛えればよいわけでありません。

たとえば筋肉ムキムキのボディービルダーだからといって、ファイトが強いわけではありません。実戦において必要なのは、筋肉よりも動きのスピードと正確さです。

多くの武道家は、しばしば筋トレや拳鍛錬などを重視します。もちろんそれらも重要ですが、本当に危険な状況では、正確に指で目を刺した方が、よく鍛えた鉄拳よりも効果的なんです(物騒ですみません…)。

それと、過度な筋トレは動きがただ遅くなるだけ……なんてことも多いです。 なので、武術の動きに必要な筋肉を作るのに一番いいのは、そのまま武術の稽古をすることです!

例えば毎日丁寧に空手の型を練習したら、少しずつ体もその動きをやりやすいように変わってくるのです。筋トレ!と意識しなくても知らない間にインナーマッスルや柔軟性などは上がっていくんですね。

精神とは?

伝えるのが難しいのですが……精神力というのはさまざまな経験やそのときの苦労を通して会得する生きる力のようなものです。そのときは大変でも、苦労した経験というのはその後の人生において糧となります。

しかし、単純に「苦労」といっても、すべてを生かせるとは限りません。例えば、苦労することを嫌がり、早く逃れたいとばかり思っている場合は、自分のしている物事から心が離れてしまいますから、実態を見極められず、そこから知恵などを見出すことはありません。苦労を生かすためには、“何かを掴みたい”という積極性が必要です。

これは武術だけの話ではありません。職場で「できない」、「いやだ」、「早く帰りたい」としか考えられなかったら、どんなに長い時間をかけても優秀な成績を収めることはできないでしょう。むしろストレスで体調を崩すだけです。

苦労することを人生のプラスにするかマイナスになるかは、その人の向上心の有無にかかっているのです。

画像: 精神とは?

心とは?

「心」というのは非常に多様な意味を持つ言葉です。英語のHeartに似たような感じですが、本質はもっと幅広いです。簡単にいうと、「体」が表面を表すとしたら、「心」は感情や知識といった内面を表す言葉です。

人間には他人からよく見られたいという気持ちが無意識にあり、表面を整えようとしがちです。しかしその人の価値というのは、内面的な部分と表面的な部分の両面で見られているのです。

いつも他人と比較したりジェラシーを感じたりしていたら、自分自身の進歩はありません。他人に勝るよりも、昨日の自分より良くなる方が大事なのです。自分らしい道を選んで、弱点を洗い出しながら心強く前に進んだら、どんな分野でも必ずいい成績が出ます。

とくに現代は、ネットやSNSといった表面だけをさらったような情報が多く惑わされがちです。表面内面のバランスをキープしながら、自分の目標に日々精進することが大切なんですね。

すべての人に感謝を。

最後にお伝えしたいことは、人間は一人では戦えないということです。私たちは一人で生きているのではなく、周囲のさまざまな人々と互いに助け合いながら日常生活を営んでいます。

画像: すべての人に感謝を。

私も、師匠の中村正美師範とMildred Manami Nakamura師範を始め、毎日多数の人々に指導と応援をいただき大変感謝しております。この記事を書くのにも私の師匠達の言葉を借りたところが多いです。

「体」「精神」「心」、すべてを上手に鍛錬するためには人の関わりが不可欠なんですね。

さて次回は、私が通っている道場の稽古の流れについて詳しくお話しさせていただきます。

画像2: 達人を目指すのに必要なこと。The Balance of Mind, Body and Spirit【Vol.4】

ブラド|Volkhin Vladislav
ロシアのウラジオストク市生まれ、2012年から日本滞在。Ural Motorcyclesの日本法人・ウラルジャパン(株)の代表者。沖縄&フィリピンの武術愛好家でもあり、俳優、フリーランスモデルも務める。小さい頃から好きなバイクと武術を本業にしている関西弁混じりの日本語が喋れるロシア人。
Instagram:vlad_volkh

過去の連載はこちらから

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.