実在の米国最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグが弁護士として挑んだ、男女平等裁判 を題材とした法廷映画。(2020年9月18日、転移性膵臓がんの合併症のため87歳で逝去されました)
フェリシティ・ジョーンズがルース役、その夫であり最上の理解者であるマーティン・ギンズバーグを「ソーシャル・ネットワーク」のアーミー・ハマーが爽やかに演じている。
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『ミステリと言う勿れ』の作中(第5巻 P8)で紹介されていて興味を持ったので、早速借りてみたもの。

原題『On the Basis of Sex』のとおり、性差(ジェンダーの違い)に存在する人権問題を描いた作品

イニシャル3文字だけで、それが誰かとわかるような著名な人物はなかなかいない。日本人にとってならJFK(ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ)くらいのものだろうし、米国人に訊いたとしても、必ず挙がる名前とすれば 同じ大統領職のFDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)くらいのものかと僕は思っていた。

しかし、本作の主人公ルース・ベイダー・ギンズバーグもまた、その頭文字をとってRBGと呼称され、多くの米国民に通じるほど浸透しているという。ネット業界にいる者やクリエイターには色の三原則RGB(Red, Green, Blue)を思い浮かべるかもしれないが、現代の米国民にとってはこのイニシャルだけで誰かとわかるらしいのだ。

本作は1970年代を舞台として、弁護士を目指しながらも女性であるがゆえになかなかその道へと進むことができずにいたルース・ベイダー・ギンズバーグが、性差による差別の存在を認めようとしない米国社会の矛盾を明らかにしようと奮闘する姿を描いている。
この女性弁護士ギンズバーグが実在の人物であり、いまなお現役の米国最高裁判事(御歳87歳=2020年6月現在)であること、そしてその人が多くの米国民にとってRBGという呼称だけで通じるということが、本作を絶対に観るべき1本としているのだと思う。

時代の空気を読んだRBG

本作の時代設定である1970年代は、黒人の人権問題、いわゆる公民権運動が激化していたが、ルースらは人種だけでなく性差における差別の存在を訴求する。

ルースたちが使うタイプライターはIBM製だが、彼女たちと裁判で争うことになる弁護団は当時実用化されたばかりのコンピューターを使って膨大な判例を整理する。このコンピューターのメーカー名が画面上に明らかにされることはないが、時代設定からしてIBM製である事は間違いないだろう。
タイプライターからコンピューターへ。利便性や機能性の高さで、ツールを選ぶ柔軟さを持ちながら、(男尊女卑的な)旧い感性に囚われた男たちに、旧いツールを使いながらも新しい感性を取り入れたルースたちが挑む、という構図を上手く表していると思った。

本作では、過去の幾多の判例で決して認められることのなかった男女間の人権侵害の事実を、どうやって国に認めさせるか?という難事に挑戦するルースたちが、法律の解釈は天気の影響は受けないが、時代の空気には左右されるという“事実”に改めて着目することで活路を見出す。理屈だけでなく、時代の雰囲気、周囲の気分を味方につけることの重要さは、ありとあらゆる挑戦者にとって 肝に銘じるべき重大事であると思う。

ちなみに、IBMは世界一有名なイニシャル3文字(International Business Machines Corporation)だが、これはRBGへの高度な洒落であると僕は思ったが、どうだろうか。

画像: 『ビリーブ 未来への大逆転』実在の女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグの挑戦を描いた法廷劇

小川 浩 | hiro ogawa
株式会社リボルバー ファウンダー兼CEO。
マレーシア、シンガポール、香港など東南アジアを舞台に起業後、一貫して先進的なインターネットビジネスの開発を手がけ、現在に至る。

ヴィジョナリー として『アップルとグーグル』『Web2.0Book』『仕事で使える!Facebook超入門』『ソーシャルメディアマーケティング』『ソーシャルメディア維新』(オガワカズヒロ共著)など20冊を超える著書あり。

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