カバー画像:ピナコサウルス喉頭骨 復元イメージ図 提供:吉田純輝(福島県立博物館)制作:新村龍也
連載コラム「生田晴香、恐竜と生きる」。福井恐竜博物館 公認恐竜博士、古生物学会友の会・恐竜倶楽部メンバーでもある自他共に認める恐竜ラバーのタレント生田晴香が、恐竜の素晴らしさを隅から隅まで語り尽くす。壮大な歴史とドラマ、未解明の不思議が交差する魅惑の恐竜ワールドへ、ようこそ。- dino.network編集部
今年の恐竜展
2023年、都内で大きな恐竜展が決まっているのは今のところ国立科学博物館で春開催される「恐竜博2023」と、東京ミッドタウンで夏開催される「DinoScience 恐竜科学博」の2つです。
「DinoScience 恐竜科学博」を聞いたことがある、もしくは行ったことある人も多いのではないでしょうか。
2021年夏にパシフィコ横浜で開催された恐竜展で、最新科学技術を使い演出や空間にレインと呼ばれるトリケラトプスなど永遠に見ていたくなる最高の恐竜展でした。
過去レポート記事はこちら↓
そこに、オリジナルコンセプトを加えての開催です。期待しかありません。楽しみです。
そして春には「恐竜博2023」。2023年3月14日から期間限定で国立科学博で開催されます。
なんと! そこでの主役は鎧竜!
「今度の主役はトゲトゲだ!」という言葉の通り、主役に鎧竜が選ばれメインビジュアルでも思いっきりアピールされています。
あの天下の国立科学博物館が大きなイベントで主役は鎧竜だというのですから、これはもう完全に恐竜流行語大賞に決定です。どこからも文句をつけられることはないでしょう。
それに、、監修の真鍋真先生(国立科学博物館副館長)のポイント解説と特製ネックストラップ付きLEDライト付きのチケット「ナイトミュージアム券」が即売り切れになったことも話題になってます。
そんな感じのイベントですが、鎧竜が主役とは、一体どういうことなのでしょうか。見ていきましょう。
恐竜博2023
主役グループの更なる主役に選ばれたのは、鎧竜で1番有名なアンキロサウルス…ではなく!アンキロサウルス類の「Zuul crurivastator(ズール・クルリヴァスタトル)」。日本初公開です!
学名の由来と意味は、「ズール」は1984年の映画『ゴーストバスターズ』に登場する「門の神ズール」に似ていることから採用され、「クルリ」はラテン語で脛、「ヴァスタトル」は破壊者です。
ズールなどのアンキロサウルス類は尻尾の先にハンマーのような棍棒があるのですが、その棍棒を振り回しぶち当てて肉食恐竜ゴルゴサウルスの脛(スネ)を破壊したのではないかと、ゴルゴサウルスの脛の化石から考えられています。
ズールとゴルゴサウルス、、、戦ってる状態で展示されるのでしょうか。全長6メートルのズールはガードが固く、ゴルゴサウルスは全長約9メートルで大きい。どちらもいかにも強そうなので戦ったらどうなるか…実際にバトルを見てみたいですね。
このように「攻・守」をキーワードに、両者を対比しながら楽しめたり、ステゴサウルスや鎧竜含む装盾類の進化など学べたりするイベントとなっています。
ズールの他にもマイプ・マクロソラックスという肉食恐竜も日本初公開で、「マイプ」は冷たい風で人を凍え死にさせる悪霊からとった名前とのことで、明らかにやばそうな名前じゃないですか?!
本当に悪霊が憑いている恐竜で化石を見れば見るほど冷えてくる呪いがかかっている可能性もあったら面白いですよね(怖いかもしれませんがもし凍えてくるという現象が起きたらお知らせください)。
呪いはかかるのか一緒に実験しましょう。いろいろ楽しめそうで楽しみです。
鎧竜の喉
中世代白亜紀の植物食恐竜「ピナコサウルス」の喉の化石についての論文が出ました。
福島県立博物館の吉田純輝学芸員(兼 北海道大学総合博物館資料部研究員)、北海道大学総合博物館の小林快次教授、アメリカ自然史博物館のマーク・ノレル博士の研究グループが、ピナコサウルスの喉頭の化石を研究をしたのです。
呼吸・音声に関わる器官の進化は化石が極めて稀なのですが、呼吸や音声に関わる骨が発見され、恐竜類における音声進化研究の第一歩を踏み出しました!(拍手)
特徴が鳥類に似ているため、恐竜も鳥類と同じように発声してコミュニケーションを図っていた可能性があるということです。
そのピナコサウルスですが、2023年2月16日(木)〜3月10日(金)まで、複製標本を福島県立博物館(会津若松市城東町1丁目25番)のポイント展「世界初!恐竜の喉の化石」で展示されるそうです。
この大発見、時代を作っている感ありますね。そんなピナコサウルスですが、、、このお方もなんと鎧竜なのです。
プレスリリース
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/230216_pr.pdf
2023年、完全に鎧竜きてますね!
ピナコサウルスは、「チュンチュン、ピヨピヨ、カーカー、ホーホケキョッ…」など、スズメやカラスみたいに鳴いていたのかどうなのかすごく気になりますね。そしてどんな会話をしていたのか、声のボリューム、声の高さや低さなど、これからの研究に期待です。
時代を切り開いていく鎧竜、これからも注目していきましょう。ではまた!
生田晴香 | Haruka Ikuta
恐竜タレント。TV、CMのほかモデルとして活躍中。福井恐竜博物館の公認恐竜博士で恐竜検定所持。恐竜トークショー、クイズ、鳴き声コンテスト審査員。古生物学会友の会&恐竜倶楽部メンバー。恐竜のうた「ダイナソーDANCE」監修。実は元あやまんJAPAN。
YouTubeちゃんねる「恐竜わっしょい!」始めました。