フランク ミュラー ヴァンガード スケルトン「革新」【今週の逸本 Vol.38】

伝統から生まれた革新「ヴァンガード」

デザインとメカニズムを両立し、どの時計ブランドとも異なる独自の世界を作り上げたフランク ミュラー。

ブランドを代表する時計のフォルム「トノウ カーベックス」は、3本の曲線の軸を球面状の1点に集約することで非常に美しい曲面を実現。クラシカルでもありカジュアルでもあり、装いによってはドレッシーにもなる不思議な魅力を秘めた、フランク ミュラーならではの形状である。

そんなブランド創設以来（開発は誕生前）の伝統的な形状に、より現代的なアプローチとして新たなカーベックス（曲線）を追求して生まれたのが、今回ご紹介するヴァンガードである。

まるで球体。美しい曲線美

まず下の写真を見ていただきたい。左がトノウ カーベックス、右がヴァンガードだ。一見すると両者に違いはないように見える。

しかしよく見ると、ケースとストラップのつなぎ目部分が異なる。ヴァンガードは、ストラップを取り付けるためのラグを無くし、ケース内部にストラップを埋め込んでいるのだ。

これによりベーシックなトノウ カーベックスと比べ、よりシームレスで美しい曲線を実現。

曲線美×機能美

今回セレクトしたのはヴァンガードの中でもスケルトン仕様の「ヴァンガード 7デイズ パワーリザーブ スケルトン」。文字盤だけでなく、ムーブメント自体が透けて向こう側まで見えるという、一際目を惹く1本となっている。

12時位置にある大きなゼンマイにより、7日間というロングパワーリザーブを実現。リューズを巻くと、巻き芯と緻密に噛み合った大小のゼンマイがムーブメントに命を吹き込み、腕元で時を刻みはじめる。その精巧さに誰もが思わず見惚れてしまうことだろう。

これまでスケルトンの時計はロジェ・デュブイのエクスカリバー42 フライングトゥールビヨン スケルトン、カルティエのサントス・デュモンを紹介してきたが、本モデルは同じスケルトンタイプではあるものの、より厚みがありボリューミーなので装着時に腕が透けて……という心配も少ない。

ケース素材にはチタンを採用しており、見た目に反して非常に軽く仕上がっているのも特長だ。

レザーとラバーの混合ストラップ、スケルトンによるメカニカルな装いがスポーツテイストを強めているが、オールブラックカラーが時計全体を引き締めており、なかなかどうしてドレッシーなスタイルにも対応してくれる。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

フランク ミュラーのラインナップの中でも、よりスポーツテイストの強いモデルがこのヴァンガードです。ケース形状、インデックス（今回はスケルトンですが…）とすべてが専用設計でありブランドとしても力を入れているシリーズといえます。

デザインの優美さが魅力のトノウ カーベックスですが、ヴァンガードはさらに丸みを帯びたデザインとなっており、加工の難しいサファイヤクリスタルをよくぞここまで……と感心してしまいますね。

さて、ここからちょっと余談です。

今回のモデルは「国内正規品」であり「並行輸入品」ではありません。「？」という方も多いと思いますのでご説明すると、フランク ミュラー・クストス・ピエール クンツなどを展開するウォッチランドギャラリー系列の時計は、正規品でないとメーカーメンテナンスが受けられないんですね。

正規品とは、簡単に言えばメーカーのブティックで販売されているもの。並行輸入品とは小売店がメーカーから直接買い付けして販売しているものです。

他ブランドでは正規品も並行輸入品も扱いに変わりはありませんが、同ギャラリー系列の時計は正規品でないとメーカー対応をしてくれないんです。なので、特殊なモデルだったり、機構が複雑な時計の場合は正規品の方が安心度は高い……というわけです。

さきほどもお伝えしたとおり、今回のモデルは国内正規品のUSEDモデル。つまり元はブティックで購入されたものであり、メーカーメンテナンスは受けられます。

もしウォッチランドギャラリー系列の時計をお考えの方は、国内正規品と並行輸入品について覚えておくとよいでしょう。

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