ROLEX
世界でもっともポピュラーな腕時計ブランド・ROLEX(ロレックス)。高級時計の代名詞といっても過言ではないが、その歴史は1905年の創業から100年余りと意外と短い。その間の偉業は数知れないが、高い防水性を実現した「オイスターケース」、自動巻ローター「パーペチュアル」の技術は、新興ブランドであったROLEXを不動の地位に押し上げた。
1930年代の逸品
当連載ではこれまで、ロレックスのアンティークウォッチとして、1930年代のプリンス(ドクターウォッチ)、1940年代のバブルバック、1960年代のオイスターパーペチュアルなど、さまざまなモデルをご紹介してきた。
今回セレクトしたのは『ロレックス プリンス ドーファン』。過去にご紹介したプリンス(ドクターウォッチ)と同様に1930年代のモデルで、ラグがフレア状に広がるブランガードケースが特徴的な1本である。
ロレックスにとって1930年代はまさに黎明期。オイスターケースやパーペチュアル機能などを発明、時計業界に衝撃を与え、ここから一気にのぼりつめる──という時代だ。
プリンスコレクションは、そんな時代の波がくる少し前のモデル。当時のロレックスにとってはアイコン的な存在であったものの、前述したオイスターケース等の流れで姿を消してしまう。
そのため、そうした時代背景も相まって、アンティークウォッチのなかでもプリンスは特別な存在。年代的に製造本数も少ないうえ、コンディションの良いものが市場に出るのは稀であり、コレクターにとっては注目の1本なのである。
細部を見ていこう。
文字盤やケースには、いまでは当たり前である王冠マークは入っていない。インデックスの書体も独特だ。ちなみに時計に王冠マークが入るようになるのは1940年頃からである。
本個体のブレスレットは、アンティーク愛好家にはおなじみのバンブーブレスレット。30年代〜40年代の時計に数多く装着されているもので、プリンスのブランガードケースにも非常によく似合っている。
裏蓋はスナップバックになっており、持ち上げれば簡単にあけることができる。しかし、蓋を閉じた状態でムーブメントが固定されるようになっているため、不用意にあけるとムーブメントの脱落につながるため注意が必要だ。
いまでは高級腕時計ブランドの最前線にいるロレックス。その黎明期につくられた本モデルは、現代のロレックスを語るうえで外すことはできない逸品である。現物を時計店で見ることができるのは、今後そうないであろう。
ロレックスが好きで、歴史ある1本を所有したいと思うのであれば、できるだけお店に急いだほうがよいかもしれない。
ROLEX
プリンス ドーファン
品番:1853
素材:ステンレススチール×イエローゴールド
サイズ:縦28㎜×横19㎜
防水:なし
ムーブメント:手巻き
文字盤:シルバー
販売価格:650,000円(税込)※アンティーク
【付属品】
内箱
※価格は2022年3月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。
MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜
1930年代の日本にロレックスはありませんでしたので、本モデルははるばる海を越えてやってきたことになります。そう考えるととても感慨深いですよね。
着ける楽しみももちろんですが、アンティークウォッチは絵画のような楽しみ方ができるもの。ときに眺め、ときに手にとってゼンマイを巻いて……そんな風にぜひ愛でていただきたい1本です。
もし装着する場合は晴れの日のみにしてください。防水性能はもちろん気密性もありませんので、雨は当然ながら水道などの水が付着するのも厳禁。
取り扱ううえでの制約はありますが、それを補って余りある価値のある1本です。時計にロマンを感じる方はぜひ本モデルを見にお店にいらしてください!
所在地 | 東京都中央区銀座1-6-6 GINZA ARROWS1F |
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TEL | 03-5250-7272 |
営業時間 | 11:00〜19:00(日曜祝日〜18:00まで) |
定休日 | 水曜日 |
公式サイト | https://moon-phase.jp/ |