世界的なDJ・音楽プロデューサーのスティーヴ・アオキとローマのハイジュエリーブランド ブルガリのコラボウォッチ「ブルガリ アルミニウム スティーヴ・アオキ 限定モデル」がそれ 。世界で1000本、日本市場向けの割当はうち200本の限定商品だ。
消費税10%込価格 357,500円
ブルガリ アルミニウムについて
ベースとなるブルガリのアルミニウム(Bulgari Aluminum)という時計は、1998年に登場したモデルの復刻版。スポーツ性を訴求した軽快なモデルであり、アルミニウム自体には夜のイメージやパーティーライクな趣きはそれほどないが、今回の限定モデルはスティーヴ・アオキとのコラボにより巧みに夜っぽさが加えられたと言えるだろう。
もともとブルガリ アルミニウムという時計は、高級時計ではほとんど使われることのないアルミニウムにラバーという異素材を組み合わせて織り上げた黒と白のクールなデザインと、ハイブランドの商品としてはリーズナブルな価格がウケて、世界中で大ヒットした製品だ。
ラグジュアリーブランドのブルガリには、オクトシリーズのような高級路線もあるが、アルミニウムはその価格帯からブルガリのエントリーモデルと位置付けられる。
ラバーやアルミといった汎用的な素材を使っても高級時計を作れる、という、デザインの妙やブランディングの冴えを見せつけることによって、ブルガリは時計メーカーとしての知名度を上げ、さらにラグジュアリースポーツウォッチという新しいカテゴリーを切り拓くことになったのだ。
ありふれた素材を纏いながらもお洒落に見える、それはセンスの問題だし、金をかければオシャレに見えるわけではない。ラグジュアリーとはセンスだ、とブルガリはハイブランドである自らのアイデンティティを壊しかねない冒険をやってみせた、と僕は思う。
それはまるで、その辺にあるガラクタを組み合わせたりキャンバスとして使って アートにしてしまうバスキアやバンクシーの手腕のようだ(アルミニウムに使われた素材はありふれたものだろうが厳選されて選ばれたモノであって、すぐ手に入るそこいらのガラクタとはわけが違うのはいうまでもないが)。
なにより、他の時計と記憶が混濁してしまうことがない、一目見てコレとわかる秀逸なデザインはそれなりのコストを投資して惜しくないユニークさだと思う。それこそ、911にも通じる、最大の長所だろう。
その後 アルミニウムはブルガリのウォッチコレクションからは型落ちしていたが、2020年9月に突如復活。
初代はクォーツだったムーブメント(時計を動かす基盤。クルマで言えばエンジンにあたる)は自動巻(Cal.B77=Selitta SW300-1ベースのブルガリ用型番という、比較的凡庸なキャリバーを使用)に変更され、全体として強度は向上されているが、基本デザインは昔のまま。かつては最大38mmだったケース直径は40mmになっているが、変わったなあ、と思うほどの変更はない。
実は僕は当時住んでいたマレーシアの首都KL(クアラルンプール)から東京に戻る飛行機の機内で初代のアルミニウムに一目惚れして、これを購入した。つまりクォーツ版のアルミニウムを一本持っている。
だから、今回限定モデルと、初代機を直接比較することができるのだ。
ちなみにムーブメントの設計・製造から時計自体の製造まで一気通貫で行えるメーカーをマニファクチュールというが、ブルガリもその一つだ。