自動車専門誌Motor Magazineスタッフが、2000万円越えスーパーカー取材で感じたあれこれを独自目線でご紹介。今回は、日帰り撮影でお付き合いさせていただいたポルトフィーノを通して「フェラーリの魅力を語るにあたり忘れちゃいけない“大人の嗜み”」について考え込んでみた。
あくまで、「余談」ですが……。(写真:永元秀和)
※本連載はMotor Magazine誌の取材余話です。

バーサティリティがラテンと結びつくと、「たらし」力が倍増する?

画像: パドルシフトやマネッティーノのドライブセレクター、ライト類やワイパーの制御に至るまで、ステアリングまわりに操作系が集約されている。F1ライクな機能美は、ドライブの緊張感を緩和するとともに気分をしっかり盛り上げてくれる。

パドルシフトやマネッティーノのドライブセレクター、ライト類やワイパーの制御に至るまで、ステアリングまわりに操作系が集約されている。F1ライクな機能美は、ドライブの緊張感を緩和するとともに気分をしっかり盛り上げてくれる。

ポルトフィーノのお披露目とほぼ同じ時期に、フェラーリはブランド初のシューティングブレークモデル「FF」を発表している。4人分のシートに最大800Lまで拡大される荷室を持ったフェラーリ最強の「遊びの達人」は、今もGTC4ルッソとして健在。見るからに遊び人(いい意味で)だが、フェラーリらしいオーラは失われていない。

そんなFFに代表されるように、近年のフェラーリは「バーサティリティ」を重視しているようだ。スーパーカーやGTカーだからと言って実用性や快適性をないがしろにすることは許されない、という目線である。

ポルトフィーノはそんなフェラーリのバーサティリティを象徴する、代表的なプロダクツのひとつだ。狭いけれど後席があったりトランクスルーが付いていたりする「多用途性」や「多目的性」は、ラテンの血統と結びつくことでそうとう「たらし」な才能が磨かれていくように思える。

ネガティブな意味ではない。あくまでポジティブに人の心を掴むすべに長けている、という意味で、ポルトフィーノの「たらし」力は圧倒的だ。

乗り味からして、驚くほど優しい。コシのあるしなやかな乗り味は、およそスーパーカーのスパルタンなイメージから乖離している。それはまさしくアルデンテ(?)を彷彿とさせて……。

高級車ブランドでしかもモテ男向けのGT性能を高らかに謳うクルマたちはそれなりに多い。けれどその中には、あまりに気合が入り過ぎて助手席に女性を乗せるのがはばからなれるような、マニアックな乗り味に仕上げられている場合が少なくない。

ポルトフィーノならそんな心配は無用だ。

開けたり閉めたり自由自在。TPOに合わせて味わう「甘い生活」

画像: ルーフの開閉はスイッチひとつで14秒。低速走行中でも動作させることが可能だ。

ルーフの開閉はスイッチひとつで14秒。低速走行中でも動作させることが可能だ。

ポルトフィーノという名前を語るとき、もう一つ触れておきたいイタリアの言葉がある。「ドルチェ・ヴィータ」……なんだかとっても美味しそうだ。

美しい港町「ポルトフィーノ」では、けっして過度にきらびやかではないけれど洗練されたドルチェ・ヴィータ=甘い生活を送ることができる、という。美しいスポーツカー「ポルトフィーノ」もまた、眺めても乗り込んでも走り出してもすべての瞬間で人生の素晴らしさを謳歌できる、ことだろう。

人それぞれに満ち足りた時間の過ごし方は違っているかもしれないけれど、フェラーリとともに暮らす日々はとびきり濃厚で深い「甘さ」に彩られているに違いない。

開閉時間が片道14秒のリトラクタブルハードトップを開け閉めしていると、ちょっと迷う。さて、どちらで走るのがカッコいいだろう……。クローズドのクーペスタイルにすっかり惚れ込んでいたが、ルーフを開け放つとそれはそれでエレガントなシルエットがさらに際立ってきて魅力的だ。

昼間はカジュアルスポーティなウエアで元気に走り回っていたアスリート系ビューティが、ナイトパーティに出かけるべくさりげなく、けれど華やかなドレスに着替えて現れた瞬間、みたいな。

いくつになっても男はこういうとき、なぜかとってもドギマギしてしまうもの。
なんとも悩ましく、贅沢な「甘い14秒間」。
これもまた類まれなる「バーサティリティ」の恩恵、ということか。

実はもっともリーズナブルなフェラーリ。

画像: 実はもっともリーズナブルなフェラーリ。

実はこのポルトフィーノ、意外にお安い。

フェラーリの現行モデルラインナップの中では、もっともリーズナブルなプライスタグを付けている。

消費税10%込みで2631万円なり。

同じ価格帯で悩むライバルを探して見たら、メルセデスAMG GT R(2426万円)、ランボルギーニ ウラカンRWDクーペ(2582万300円)、アストンマーティンDB11 V8ヴォランテ(2515万7407円)、マクラーレン570S(2722万円)といった錚々たる顔ぶれが連なっている。

でも、やっぱりポルトフィーノは特別だ。
「油っ気」抜きで、ディズニーシー話で盛り上がることのできるスーパーカーなんて、そうはいない。

フェラーリ ポルトフィーノ 主要諸元●全長×全幅×全高=4586×1938×1318mm/ホイールベース.=2670mm/車両重量=1664kg/乗車定員=4名●エンジン=V型8気筒DOHCツインターボ/総排気量=3855cc/ボア×ストローク=86.5×82.0mm/圧縮比=9.45/最高出力= 441kW(600ps)/7500rpm/最大トルク=760Nm/3000-5250rpm/燃料・タンク容量=プレミアム・80L /C02排出量(EUドライブサイクル)=245g/km/トランスミッション= 7速DCT/サスペンション形式=前ダブルウイッシュボーン・後マルチリンク/タイヤサイズ=前245/35ZR20・後285/35ZR20/ブレーキ=4輪Vディスク/ボディカラー=ARGENTO NURBURGRING●最高速度=320km/h以上/0→100km/h加速=3.5秒/車両価格=26,310,000円

試乗車装着オプション【オプション価格・約5,000,000円】
20インチダイヤモンドカット鍛造ホイール、カラード ブレーキ キャリパー(イエロー)、ピレリタイヤ、スクーデリアフェラーリ フェンダーエンブレム、ク ロームメッキ仕上げフロントグリル、スポーツエキゾーストパイプ、フロントバンパー保護フィルム、 フロント&リア パーキングカメラ、フロントライティングシステム、自動調光(防眩)バックミラー、 マグネティックライドデュアルモードサスペンション、アルミニウムフットレスト、フル電動シート、 ヘッドレストの跳ね馬刺繍、フォルダブル リアシートバックレスト、カラードレザー仕上げドアトリム、アルミニウムレブカウンター、カラードレザー仕上げロアダッシュボード、カラードレザー仕上げ センタートンネル、Apple CarPlay、パッセンジャーディスレプレイ、Hi-Fiオーディオ

画像5: 〜スマートかつスタイリッシュに、ポルトフィーノで盛り上がろう〜

神原 久|Hisashi Kambara
Motor Magazine誌など自動車雑誌の編集者としてはや30年が経過。「寄り道」と「回り道」が好きで、自動車以外にも五輪写真集や美人アスリート本、外国人ジャーナリストの文化論的単行本など、さまざまなジャンルの媒体編集を担当。特技はバレエ。趣味はゴスペルとバドミントン、配信動画鑑賞。

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