日本ではお雛祭りに当たる3月3日、992型の同グレードが本国で発表された。だからこそ今、991型の最終進化形と言っていい「911ターボS」をテストドライブ。ポルシェというブランドに「ターボ」が存在することの大切さを、改めて強く思い知らされることになった。たとえほとんどみんながターボ付きになっちゃっているとしても。(写真:永元秀和/ポルシェA.G.)
※本連載はMotor Magazine誌の取材余話です。

現代の911は、そろいも揃ってターボがついているけれど。

画像: 現代の911は、そろいも揃ってターボがついているけれど。

メツガーが語るそんなターボ化のメリットが結果的に、現代のポルシェラインナップにおける「ターボ」の立場を微妙なものにしているのは、ちょっと皮肉な話かもしれない。911に限らず、昨今のポルシェモデルのパワートレーンはほとんどすべてがダウンサイジングという名目の下にターボ化されている。つまりみんなこぞって「ターボ」というバッヂをつけて、スペシャル感をアピールしてもおかしくない。

とはいえもちろん絶対的なスペックは「ターボ」が秀でている。911の場合、最強はGT2 RSの3799ccの水平対向6気筒ツインターボで700ps/750Nmと頭抜けてしまっているけれど、「ターボS」は580ps/700Nmでそれに続き「ターボ」でも540ps/660Nmに達する。

同じく水平対向6気筒ツインターボながら排気量が3Lとなる「それ以外」は、370〜450ps/450〜550Nmであることを考えれば、やっぱり「ターボ」は凄いのだ。

しかしそんな絶対性能以上に、「ターボ」をすべてのポルシェラインナップの中で頂点にあるモデルとして位置付けているのは、あらゆる動的バランスが飛躍的に高められることで生まれた、プレミアムスポーツとしての完成度の高さにあると思う。パーツの一つひとつがまるで他のターボモデルとは別物であるかのような、卓越したフットワークであり、洗練された乗り味であり……。

画像: 2018年のフェイスリフトに伴って、それまでの3.6L V6ツインターボから2.9L V6ツインターボにスイッチ。まさにダウンサイジングだが、それでも最大トルクは50Nmもアップしているというから驚きだ。コーナリングも軽快かつリニア。よりピュアな操る醍醐味を、味わうことができる。

2018年のフェイスリフトに伴って、それまでの3.6L V6ツインターボから2.9L V6ツインターボにスイッチ。まさにダウンサイジングだが、それでも最大トルクは50Nmもアップしているというから驚きだ。コーナリングも軽快かつリニア。よりピュアな操る醍醐味を、味わうことができる。

911同様にカイエンやマカンもまた、然り。はっきり言って現代の「ポルシェのターボ」は、ある意味で初代911のそれ以上に、価値あるニックネームとして進化を遂げている。

そう考えるならきっと「タイカン ターボ」だって、特別な1台に違いない、と確信する。EVだけど。ターボ、付いてないけど。

ややこしいな。

ふくよかな後ろ姿は初代並み?新型ターボSについてもご紹介

日本導入はもう少し先だけれど、992型911ターボSも非常に魅力的なスペックの持ち主だ。3.8L 水平対向6気筒ツインターボは、最高出力が650ps、最大トルクは800Nmに達している。0→100km/h加速は2.7秒で、991型より0.2秒速いとのこと。最高速度は330km/hに達する。

こと絶対的な動的性能に関しては、日本の公道でどこまでその伸び代を生かすことができるのかは謎だ。どちらかと言えば1900mmに達するという全幅の拡大=前後トレッドの拡大によって、フットワークがどんな風にブラッシュアップされているのか、というあたりが気になる。

加えて、すでに日本に導入されているカレラ系と比べると、どうやら約50mmほどボディがワイド化されている様子。991型が約30mmの差だったことを考えると、リア周りのボリューム感のマシマシ具合が、実はとっても気になる。

ポルシェ911 ターボ(991型) 主要諸元●全長×全幅×全高=4510×1880×1295mm/ホイールベース.=2450mm/車両重量=1610kg/乗車定員=4名●エンジン=水平対向6気筒DOHCツインターボ/総排気量=3799cc/ボア×ストローク=102.0×77.5mm/圧縮比=9.8/最高出力= 427kW(580ps)/6750rpm/最大トルク=700Nm/2100〜4250rpm/燃料・タンク容量=プレミアム・67L /JC08モード燃費=10.8km/L/トランスミッション=7速DCT(PDK)/サスペンション形式=前ストラット・後マルチリンク/タイヤサイズ=前245/35ZR20・後305/30ZR20/ブレーキ=4輪Vディスク/ボディカラー=キャララホワイトメタリック●最高速度=330km/h/0→100km/h加速=2.7秒/車両価格=26,300,000円

試乗車装着オプション【オプション価格: 3,800,000円】………アダプティブクルーズコントロール342,000円、レーンチェンジアシスト126,000円、フロントリフトシステム411,000円、チルト/スライド式電動ガラスサンルーフ406,000円、パワーステアリング・プラス48,000円、フロアマット33,000円、ブルメスターハイエンド・サラウンドサウンドシステム541,000円、PORSCHEロゴ/モデルロゴペイント仕上げ60,000円、エアロキット911ターボ(ブラックハイグロス) 973,000円、ブラックペイント仕上げホイール(ハイグロス) 249,000円、メインブラックヘッドライト・PDLS含む 90,000円、アルカンターラサンバイザー75,000円、プライバシーガラス100,000円、ストレージリッド(ポルシェクレスト入り)42,000円、20インチスポーツクラシックホイール130,000円、アルミペダル63,000円、アルミPDKレバー111,000円 
※すでに販売は終了しており、価格は税8%込みのもの。

画像4: 「ぽるしぇたーぼ」で夢を見た。「ポルシェのターボ」は凄かった

神原 久|Hisashi Kambara
Motor Magazine誌など自動車雑誌の編集者としてはや30年が経過。「寄り道」と「回り道」が好きで、自動車以外にも五輪写真集や美人アスリート本、外国人ジャーナリストの文化論的単行本など、さまざまなジャンルの媒体編集を担当。特技はバレエ。趣味はゴスペルとバドミントン、配信動画鑑賞。

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