愛車を自分好みに仕立てるなら、まずは「足もと」から

BBSデザインの特徴のひとつが、細身のスポークからなるY字をモチーフに採り入れていること。ホイールの径が大きく伸びやかに見えることから、足もとに安定感とともに軽快感を生み出すことができるのだ。(写真はRE-V。2018年に軽井沢で期間限定でオープンしていたBBSカフェの来店車)
オシャレは足もとから、と言う。
ここで言う「オシャレな足もと」とは、ファッション通的には「靴とパンツのコーディネイトを整えること」を主に意味しているらしい。それはどうやら人に限ることではない。クルマもまた、オシャレに自分らしさを演出するコツは、「足もと」にある。
そのコーディネイトの核となるのがホイールだ。愛車を自分好みにアレンジする、いわゆる「カスマイズ」を考えているのなら、まずはホイールにこだわってみることをオススメする。
例えばホイールのサイズをひとまわり大きくするだけで、クルマのたたずまいは驚くほど変わる。
いわゆる「インチアップ」と呼ばれるドレスアップテクニックのひとつだけれど、ディスク面の大きなホイールに変えると、真横から見たクルマのスタイルがより安定して見える。ホイールのデザインやエアロパーツとのトータルアレンジのテイストによって、時に低く構えたスポーティなイメージを高める効果があり、時にはどっしりと構えた高級感を醸し出してくれる。
職人たちの匠の技が生きる、鍛造ホイールの世界に注目

レーシーかつラグジュアリーなイメージでまとめられた2本(左:RI-S/右:FS)。細身のスポークからさらに不要な厚みを削ぎ落とすことで、軽量化を徹底している。
そんなアルミホイールを履くなら、やはり「逸品」と呼ばれるものを選びたい。
ことデザインに関して言えば、趣味趣向や好き嫌いがある。けれど、わかりやすく「逸品」であることを誇つことができるのは、なんと言っても「鍛造」で作られたアルミホイールだ。
アルミホイールの製造方法には大きく分けて鍛造と鋳造の2種類があるが、製法的にも製品的にもより強いこだわり感を感じさせるのは前者だ。その製造プロセスは、非常に手間暇がかかっている。

BBSジャパン本社工場内では、大型のプレス機を使って鍛造ホイールが生産されている。こちらはこれまで最大級だった9000トンプレス。圧力が高ければ高いほど、大径なホイールを効率よく生産することが可能になる。

プレスによる鍛造工程の途中。いわゆるホイールの“顔”に当たるディスク面が、次第に形作られて行く。
ビレットと呼ばれる厳選されたアルミ素材を用い、大型プレス機を始めとするさまざまな専用マシンでいくつもの工程を経ながら、少しずつ形を整えていく。圧巻は手作業による仕上げの工程だろう。そこでは職人たちが1本、1本、精魂込めて美しいホイールを完成させていくのだ。

生産プロセスのそこかしこで、人の手による表面処理が施される。「バリ」と呼ばれる素材のハミ出しや切削によるエッジをなめすこの作業は、1本1本、職人の手と目でコンディションがチェックされ、丁寧に面や角が整えられていく。
そんな丹精こめて作られた鍛造ホイールで世界を席巻しているブランドが「BBS(ビービーエス)」だ。もともとは1970年にドイツを発祥の地とするブランドだが、現在はそのブランドと技術を日本の企業が引き継ぎ、メイドinジャパンの誇りとともに多彩な逸品たちを世界に送り出している。
優れた製品精度に裏打ちされた高い信頼性は、多くのクルマ好きにとって憧れだ。一度履いたらもはや他のホイールブランドでは満足できない、という熱狂的なファンも多い。