せっかくのオフ車なのにキャンプしないのって?いや、その気はあるさ、でもどこいったってめちゃくちゃ混んでるだろ?え、オレのCRF250L向きのいい穴場があるって??
オートバイ2021年10月号(第87巻 第14号)「Let's Get It On」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部
オートバイ2021年10月号(第87巻 第14号)「Let's Get It On」(東本昌平先生作)より
©東本昌平先生・モーターマガジン社 / デジタル編集:楠雅彦@dino.network編集部
キャンプはしたいが、人混みはいや。
オレの愛車はHONDA CRF250L。いわゆるオフロードマシン。そう、山道とか林道とかを走破するのに向いてる奴さ。まあそんな道、滅多に走らないけどな。
キャンプとかたくさん行ってそう、とよく言われるし、今日も久しぶりの夏期休暇でツーリングにでも出かける準備をしようと、スーパーに買い出しに来てるわけなんだが、実際には口だけキャンパーさ。だって、今どきどこいったってめちゃくちゃ混んでるだろ?
どこも人ばかり。もう帰ろうと思ったオレに意外な選択肢が
いろいろ荷物を積んで、走りに出たものの、案の定どこ行ったって人ばかり。静かに物思いに耽るなんて夢のまた夢さ。
結局オレはいつものお決まりのコースで、足湯に浸りながら美味いコーヒーを呑める、山間の行きつけのカフェに寄った。
口髭の似合う、ガタイのいいマスターはまた来たか、という顔は見せず、人当たりのいい笑顔でオレを迎えてくれた。
「どこも人がいっぱいで。マスターのコーヒー飲んだら帰ろうと思って」
オレは温む足から少しずつとれていく軽い疲労を心地よく感じながら言った。
するとマスターはオレのバイクを見ながら意外なことを言った。「あのバイクならとっておきの所がありますヨ。行ってみます?私の山ですけど」
こんなところで焚火なんてしていいの?と思わせる空間
マスターの山?
オレは興味を惹かれ、というか、そうだな、わりと引っ込みがつかなくなって、マスターの案内に従って、そのとっておきの場所へと向かうことにしたんだ。